今回は修理のお仕事を説明します。
富山県のお寺様からのご依頼です。
千手観音像と厨子になります。
修理は状態やご依頼主の思いによって仕上がりが毎回変わります。
よろしければ最後までご覧下さい。
まずは現状確認です。
千手観音像は煤で黒くなっています。割れや腕の破損、金具が無い部分もありました。
今回は破損や無い部分を修理し煤も落とします。煤のある状態が良いというケースもありますが、今回は金箔の仏像であるので煤を落とし古色仕上げをしていきます。
なるべく今までの歩んできた仏像の歴史を維持するため、状態の良い部分は残しその雰囲気に合わせていきます。
こちらは厨子。
扉がうまく開かない所がありました。全体的に割れと歪みがあるのが原因でした。金具も劣化していました。
こちらは相談した結果、漆の塗り替えとなりました。内部は黒で金箔の仏像がひき立つようにします。
そして外側は朱塗りです。ただの朱塗りではなくあえて艶を消す艶消し技法を使います。こうすることにより朱色の深みが増して重厚感のある落ち着いた厨子になります。
個人的には漆の艶消し仕上げが好きなので気持ちが高ぶります。
先ずは千手観音像の煤落とし。仏像が傷まない方法を考えていきます。
本を読んだり知り合いに聞いたりしました。貴重な技術を教えていただき感謝しております。
ありがとうございました。
煤を落とすと割れが出て来ました。
こうした部分は新しい木を埋めて漆を塗っていきます。
金具の破損も目立ちます。今回は薄い真鍮なので新しくつくるのが難しいものでした。元の部品を使い修理していきました。
厨子は割れや破損が目立つので解体して修正。
金具も外しました。錆を落とし焼き付けをして綺麗にします。出来る限り元の部品を使います。
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