不動明王の剣と縄(羂索)の意味


今回は不動明王像の剣と縄についての説明です。

不動明王像は右手に剣、左手に羂索(けんじゃく)という縄を持つのが一般的です。

 

この剣は決闘する為の武器に見えますが実は違います。

 

剣は密教法具の三鈷杵の形に象った柄をつけた剣が一般的です。

 

また仏教では三鈷杵は魔を打ち砕く力を秘め、厄災や煩悩を払う法具として用いられています。

 

この不動明王の剣も人々の煩悩や厄災を断ち切るものと言われています。

 

ご依頼を頂いた不動明王の剣も三鈷剣をベースにオリジナルの要素を加えた形になっています。

 

既製品のものと違う手彫りの一品ものになります。

 

 

 

縄について

羂索(けんじゃく)と言います。

 

左手に持つ五色の縄です。

 

なぜ五色なのかというと説は色々ありますが

地上の五大要素「地」「水」「火」「風」「空」を表しています。

 

地(黄)、水(白)、火(赤)、風(黒)、空(青)に由来しているという説があります。

 

五大要素をあらわす五輪の塔と同じですね。過去の記事で詳しく説明していますのでよろしければご覧ください。五輪塔についてはこちら

 

 

こちらの羂索で煩悩から抜け出せない人を縛り上げてでも救い出します。

 

不動明王像の忿怒の相は、悪を仏の道に導くという決意の表れで、火炎で煩悩を焼き払い、右手の剣は人々の煩悩を断ち切る、左手の縄は煩悩から抜け出せない人を縛り上げてでも救い出しますと言うことになります。

     

この様に木から彫り出される仏像一体ごとに沢山の意味が込められています。台座や光背、持物も含めて仏像を拝んでみると沢山の発見があると思います。

 

 

 

 

工房 仏師 坂上俊陽

 

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