この記事は専門の仏師が不動明王について詳しく解説します。仏像を買う前に注意する事もまとめていますので最後までご覧ください。

【不動明王とは】
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名前の由来は「動かざる者」。真言密教の最高仏と位置づけられる大日如来の成り代わった御姿です。
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優しく諭すだけでは救えない人の悪心を改心させるために忿怒の姿で現れたものであり煩悩と迷いを断ち、すべての人を救うと言われています。
【ご利益】
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除災招福、病気平癒、疫病退散、身体健全、家内安全、などの現世利益
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災いを絶ち苦しみから救う
- 怨敵調伏、必勝祈願、出世、商売繁盛
【祀り方】
・個人宅の場合は仏壇や床の間に置く場合が多いです。リビングに置く場合は専用の厨子や入れ物を用意すると良いです。
神棚に置いても良いか?
基本的に神様を祀る場なので一緒に安置する事はオススメしません。
・仏壇以外の場所に置く場合
木彫りの仏像はエアコンの風や直射日光が当たる場所は避けて下さい。木が割れる恐れがあります。

【仏像の手入れ 掃除方法】
仏像の掃除は、ぬれタオルで拭くのは厳禁です。
柔らかい筆や刷毛、布などでほこりを払うのが基本です。
こちらで説明しているのでよろしければご覧ください。
【お供えもの】
仏壇に納める場合はお供えを用意する場合が多いです。
仏教のお供えは、線香、花、ろうそく、水、食べ物の5種類が基本です。
榊ではなくお花を供えます。

【仏像を購入する際の注意点】
市場に出ている木彫りの仏像は大きく分けて3種類
1、海外製の大量生産の仏像
2、海外製の職人が彫った仏像
3、日本の職人(仏師)が彫った仏像
基本的に価格は1 <2 <3の順で高くなる場合が多い。
(3が若手の職人だったり、2に仲介業者が入ると2の方が高くなる場合も。)
大量生産の仏像は数万円で買える仏像が多く日本の仏師の仏像は海外の大量生産の仏像と比べると5〜10倍になってしまう事もあります。
手彫りの場合は小さくても1ヶ月ほどかかる為、どうしても価格がそうなります。
安くしてしまうと生活が出来なくなってしまいます。ご理解のほどよろしくお願いします。
海外製の仏像は既製品に対し仏師の仏像は一からつくるので、顔やデザインのイメージに合わせる事が可能な場合が多いです。
インターネットで検索すると海外製の大量生産の仏像が多く出て来ますので、その点も踏まえて自分がどのような仏像を購入したいかを考えてから検討すると良いです。

【開眼はしないといけないのか】
仏像の開眼とは、新たに仏像に魂を入れる儀式です。この儀式は菩提寺のあるお寺によって行われることが多く、御住職にお経を唱えていただきます。
基本的に個人宅のお客様では開眼の儀式をしない場合が多いです。負担にならないのでしたらしても良いと思います。

【ほとんどの人が知らない不動明王像の特徴】
不動明王といっても顔の違いや光背、台座の違いもあります。仏師目線で詳しく解説していきます。
・顔の特徴
【眼の開き方は主に2種類】
天地眼(右眼は開き左目は半眼)と両眼を開くタイプがある。
平安時代初期は両眼を開く顔が主流だった。
平安時代中期以降から天地眼(てんちがん)になる。(上画像左は天地眼)
どちらの仏像をお求めになるかはお客様の好みですが一般的には天地眼が多い。
天地眼の意味
天地まで睨みをきかせ、私たち衆生を見守っている姿を表し正しい仏の道へと導いていこうという意味があります。
【牙の種類も主に2種類】
・平安時代初期は2本の牙が下向きで出ている。※注意 画像のものは上下になっています。
・平安時代中期以降から右の牙は上、左の牙が下がっている。
意味
上に悟りを求め、下には人々を導くことを表しています。
【髪型も主に2種類】
・平安時代中期以降から巻髪。上画像左
・平安時代初期は髪を束ねて垂らす索髪(さくはつ)。上画像右

【台座も主に2種類】
不動明王像の台座は主に2種類。 岩坐(いわざ)と瑟瑟座(しつしつざ)に分けられます。 岩座は盤石(ばんじゃく)ともいい、不動を象徴した堅固な様子を表しています。上画像左が岩坐、右が瑟瑟座。
詳しくはこちらをご覧ください。



【1番多い不動明王像は?】
天地眼の憤怒の相で岩坐にのった不動明王像のご依頼が多いです。
仏師の仏像に興味がある方は、こちらの工程動画をご覧ください。木の塊から出来上がる様子を見る事が出来ます。
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