仏像彫刻に対する思い
1<仏師の師匠のもとで五年の弟子入りを終え独立>
私は木彫の町、井波というところで5年間の住み込み弟子入りをしました。沢山のご縁に恵まれこの業界では珍しい5年という速さで独立出来ました。
大きな希望を抱き自分の力を試そうと意気込んでいました。
しかし・・・・
お店やデパートには海外で大量生産された仏像が当たり前のようにどこでも並んでいる。
しかも仏師の価格の20分の1以下の価格のものまで!
見積もりの依頼が来るが、海外製品の仏像の値段と天秤にかけられてしまい、その値段なら・・・と言われてしまう事が沢山ありました。予想以上に海外の大量生産の仏像が市場を占めていました。
<仏師の仕事を知ってもらう為に>
お客様とじっくり話をすると
『デパートにある仏像やネットにある安価な仏像と仏師の仏像は何が違うの?』という話を聞きました。
今まで考えた事のなかった事です
今の仏像は普通の人から見たら安価な物と何がどう違うのかを明確になっていませんでした。
昔は、分かる人に分かってもらえれば良いという時代だったが今はそういう訳にはいかないのです!
この時点で私のやる事は仏師の思いや仕事を知ってもらう事から始めなければいけないと思いました。
そうしないと次の世代に、この仕事の良さを伝えて行けなくなると思ったからです。
思いの込もった仏師の仏像を探している人に知ってもらう為にネットで情報発信をしたり会いにいくこともありました。
独立した頃は、とにかく仕事の良さを知ってもらう為に全国に足を運び個人の方からお寺様からお話を聞きに言ったり伝えにも行きました。
ホームページは作る資金もなかったので、本を借りて1から作りブログやSNSを通じて情報発信をしていきました。このホームページも独立当初から使っています。
おかげさまで独立してから今まで沢山のお客様に恵まれて来ました。
皆、手仕事の良さを理解して頂けるお客様ばかりです。自分が注文することによって、少しでも業界の為になれたらと言って頂ける方も少なくありません。
また工房に沢山の若手が技術を学びたいと訪ねに来てくれます。
独立して10年以上、予約が途切れたことがないのは、このようなお客様との出会いがあったからだと思います。
仏像の先に常に人がいてその人がどうしたら喜んでくれるのか考える。
これが手仕事だと思っています。その思いを常に持ち続けていきたいと思います。